導入ストーリー(学習塾編)
教育現場で動画をうまく活用するには!
第2章: 学習塾でライブ授業を始めるには?≪ライブ配信準備編≫
学習塾で導入できる動画配信サービスには、次の2つのタイプがあります。
- ライブ配信
- 映像をリアルタイムに配信する方式です。テレビの生中継のようなイメージで、配信されている時間のみ視聴が可能です。
- オンデマンド配信
- 動画コンテンツをサーバ上に置き、ユーザーの求めに応じて配信する方式です。見たい時にいつでも視聴することが可能です。
ここでは、学習塾が「授業のライブ配信」を始めるにあたって必要なこと、確認しておきたい準備事項について、お伝えします。
ライブ配信の特徴と導入シーン ~模試や入試などの特別授業も
ライブ配信を導入することで、本校で行われている授業を、遠隔地にも同時に配信できます。リアルタイムに配信するので臨場感があり、即時性が重要な授業などに向いています。
通常のカリキュラムに沿った授業の配信はもちろんのこと、模擬試験や入試などに関わる特別授業、有名講師を招いたイベント講座など、本校と同時にサテライト教室や自宅などに配信できることで、遠隔地の生徒を集めることが可能になります。
また、チャットなどを利用し、双方向でのやり取りができるタイプのライブ授業では、その場で問題を解決できるなど、講師は生徒の理解度を確認しながら授業を進められます。
ライブ配信する映像を録画・編集し、映像コンテンツとしてオンデマンドで配信することも可能です。
こうした取り組みは、生徒の理解度やモチベーションの向上にもつながります。さらに、進学率などにもダイレクトに良い影響を及ぼし、塾の価値を高めることになるでしょう。
ライブ配信は、比較的簡易な仕組みで実現でき、初期費用が抑えられることから、これから動画配信に取り組みたいという学習塾にお勧めです。ただし、ライブは配信しているそのタイミングで視聴されなければなりません。同時に複数のユーザーからのアクセスが発生するため、視聴者数などを考慮した環境を構築しておくことが必要です。
ライブ配信サービスを失敗させないために5W2Hでサービス導入の目的を明確に
ライブ配信サービスを導入する前に、5W2Hを活用して、導入目的や望む効果を明確にしましょう。
導入後の目標が明確になるとともに、運用がスムーズになり、トラブルを回避することができます。
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- Why =「なぜ? 何のために?」⇒目的・理由・目指す効果
例)少子化の中での新規生徒獲得 - What =「なに? 何を?」⇒改善したい問題・課題、実現したい内容
例)今まで獲得できなかった遠隔地の生徒の獲得 - Where =「どこ? どの範囲?」⇒場所・対象とする範囲
例)各家庭のPC対象 - When =「いつ? いつまでに?」⇒スケジュール・期限
例)サービス告知を今年10月までに行い、来年4月からライブ授業配信開始 - Who =「誰に? 誰が?」⇒対象および実現できる体制
例)経営企画室が主幹となり導入推進 - How=「どのように?」⇒手段・方法
例)全授業のライブ授業配信 - How Much=「いくら?」⇒初期費用・ランニングコスト・編集費等の予算と費用対効果の試算
例)コスト:初期費用100万円 ランニングコスト年間500万円
費用対効果:圏外ユーザーの新規生徒獲得者数
- Why =「なぜ? 何のために?」⇒目的・理由・目指す効果
ライブ配信サービスを選ぶための8ポイント
5W2Hで明確にした導入目的に沿って、自塾での運用にふさわしいライブ配信サービスを選定することが大切です。ムリ・ムダ・ムラなく、効果的な動画活用を継続して運用するために、以下の8項目のチェックポイントを確認してみましょう。
1.オンプレミス型かクラウド型か
・オンプレミス型:自社で、動画配信に関わるサーバやソフトウエアなどの設備を導入、設置して運用する方法。独自機能の実装やオリジナルデザインの適用など自由度の高いサービス提供が可能な一方、サーバやネットワークなどのインフラ管理に、より高度な専門知識と社内リソースの確保が求められる。大容量送信や、機密事項の高い情報を扱う場合に適している。
・クラウド型:サーバ、ネットワーク、ソフトウエアなど、動画配信に必要なリソースがすでに構築されているサービスを、必要に応じて利用する方法。基本的な動画配信システムとサーバ容量がパッケージ化されているため、低コストで手軽に導入できるうえ、柔軟な運用が可能。学習塾独自の機能が実装されているクラウドサービスもある。
2.マルチデバイス対応か
生徒の利便性を高めるためにも、PC、タブレット、スマートフォンなど、さまざまなデバイスが使えるマルチデバイス対応が望ましい。
3.サービスの安定性
重要なのは、ライブ配信の途中で授業が途切れないこと。回線やサーバなど、サービス提供レベルにふさわしい環境が整っているか、確認が必要。
4.双方向コミュニケーションへの対応
先生と生徒が共有できるホワイトボードや、その場で質問が可能なチャット機能など、双方向コミュニケーションを可能にする機能の有無。ソフトウェアブランドやグレードにより、できる内容が異なるので注意が必要。
5.配信規模への対応
小規模配信なら導入が手軽なパッケージサービス、大規模配信なら多様なニーズに対応可能なパッケージ+セミオーダーが望ましい。配信先の増減やコンテンツのボリュームによって、映像の質やコストに影響が及ぶか否かも選定のポイント。
6.セキュリティ
安易にダウンロードや複製、改ざんといった被害に遭わないよう、会員(生徒)保護の面でもコンテンツ保護の面でも、セキュリティには十分注意する必要がある。ID/パスワード認証はもちろん、ワンタイムURLへ対応しているなどセキュアなサービスを選びたい。
7.料金体系と契約方法
- 利用分に応じて料金が決まる従量課金が良いか、料金が一定で予算が立てやすい定額制が良いか
- フリートライアルなど、無料で試せるサービスがあるか
- 月単位の契約か、年間契約か、それ以外の方法での契約か
尚、無料の動画共有サービスは、利用しやすい半面、サポートやセキュリティが脆弱な場合がある。生徒の個人情報を取り扱う学習塾では慎重に対処したい。
8.使いやすさ、運用フォロー、サポート体制
- 簡単に導入できるか。特別な機材を必要とするか
- 管理者(先生)も生徒も直感的に使えるか
- 管理ページが使いやすい設計か
- サポート体制は万全か
ライブ配信を行うために準備するもの
- 動画撮影機材(ビデオカメラ&照明)
- コンテンツ(動画、電子教材・資料)
動画配信システムに加えてこの2つがあれば、ライブ配信は可能。教室にカメラを設置し、教科書(資料)があれば、すぐにでもライブ授業を始めることができます。遠隔の生徒へ、授業を配信できるようになります。
ライブ配信による授業を行っている学習塾は、まだまだ少ないのが現状です。黎明期の今始めることで、競合との差別化を図り、生徒や保護者に対して大きなメリットを提示することができるでしょう。
次回は、「ライブ配信準備編」と題し、学習塾でライブ授業を始めるための具体的なステップとチェックポイントについて解説します。