安定・高品質な動画配信でeスポーツの振興をサポート
日経MOOK「まるわかり!eスポーツビジネス」(日本経済新聞出版
編)より転載
※当記事は、日本経済新聞出版の許諾を得て転載しています。掲載日:2020年6月23日
eスポーツ大会の開催に興味はあるが、それを配信するための設備やスキルがない企業は多い。
法人向け動画配信サービス「SmartSTREAM(スマートストリーム)」について、
福岡eスポーツ協会の中島さんと、NTTスマートコネクトのメディア業界を担当する吉田さんに伺った。
安定高品質な通信環境とマルチアングル視聴が特徴
中島:10年ほど前まで、ゲームはオフラインでパーソナルに楽しむものでした。インターネットの普及により、現在はオンライン対戦やゲーム実況、動画配信が主流になっています。特に大規模なイベントほど、インターネット上でのライブ配信は欠かせません。ただし、動画配信にはそれなりの経験や技術が必要になるため、まったくの未経験者が参入するのはハードルが高いと感じることも多いのが現状でしょう。
吉田:そうした場面で動画配信サービスを活用していただければ、eスポーツのもつ魅力を引き出し、さらに高品質なコンテンツづくりにつなげることができるようになります。弊社が展開する「SmartSTREAM(スマートストリーム)」は、低遅延の安定した配信環境とマルチアングル視聴機能が特徴の動画配信サービスです。パソコン、スマホ、タブレット端末など、マルチデバイスで閲覧が可能で、SNSへの共有ボタンの設置や動画URLのQRコード発行にも対応しています。
中島:会場外の集客や収益化、競技の知名度向上など、配信がもたらすメリットはたくさんある。配信者と視聴者、それぞれのニーズに寄り添うことで、より魅力あるeスポーツのコンテンツづくりに寄与していきたいですね。
大規模な配信の場を提供「九州リーグ」の構想
中島:また、小規模な場での配信にとどまらず、より大きなプラットフォームでの配信場を提供できないかという構想もあります。その施策のひとつとして九州各県のeスポーツ推進団体が開催を予定しているのが、九州・沖縄の県対抗eスポーツ大会「九州リーグ」です。これは、九州各県が個別にeスポーツ大会を開いていたものをまとめ、九州全体のリーグ戦にするもの。地域振興や、ゲームプレイヤーではない観戦者の裾野拡大などのねらいがあります。
吉田:大会の様子はライブ配信し、オンライン観戦も可能にする予定です。eスポーツの大会参入や配信を、誰でも参加できるものとして広めていきたいですね。
中島:世代を問わずeスポーツを応援していただくためには、大会に地元出身だったり、地元で有名だったりする「応援したい選手」が出ているかどうかも重要なポイントになります。地域に根ざした大会を開催することで、そうした観戦に伴う「盛り上がり」を提供したいという思いもあります。
吉田:知っている人や身近な人が試合に出ているというのは、観戦や応援の大きなよりどころになります。そうした意味でも、動画配信の担う役割は大きい。例えば、高齢者施設でシニアがプレイする様子を、お子さんやお孫さんに配信して楽しんでいただくなどの活用法も考えられるのではないでしょうか。
中島:ゲームの魅力は住んでいる場所や世代を問わず、誰もが楽しめることにあります。「九州リーグ」が地域・世代を超えてeスポーツを知っていただくきっかけになればいいですね。また、大型大会の配信が実現すれば、よりスポンサーが参入しやすい土壌も生まれるでしょう。それがひいては、eスポーツ市場全体の発展や認知度向上にもつながるのではないかと考えています。
一方通行の配信から応援できる配信へ
中島:現状のeスポーツ配信の課題のひとつは、映像のおもしろさをコンテンツそのものや大会の雰囲気、選手・プレイヤーのパフォーマンスなどに丸投げしてしまっている側面があることでしょう。コンテンツをわざわざ「配信」することで楽しんでもらうためには、+αの魅力を演出したり、配信の仕方を工夫したりする必要があります。
吉田:これまで弊社では、2019年に開催されたeスポーツ大会「戦頂 Shizuoka esports Arena」のライブ配信のほか、NTT西日本社内のeスポーツ大会の配信などを手がけてきました。今までの配信でも、コメント機能や「すごいね」ボタンの設置など、視聴ページと連動したリアクション機能を追加する試みを行ってきましたが、オンライン配信だからこそ楽しめるしくみづくりには、もっと積極的に取り組んでいきたいですね。
中島:視聴者が興味をもっているのは、コンテンツそのものよりも、それをプレイする「人」であることが多くある。これからは、より選手やプレイヤーにフォーカスした配信が主流になるのではないでしょうか。
吉田:サッカーや野球の試合中継のように、選手のパーソナルなデータを同時に表示するなどの工夫があってもいいのかもしれません。
中島:今後、動画配信が一般的になっていけば、一方通行の配信ではなく、双方向にやりとりできるしくみは必須になっていくはずです。応援や視聴を通して、ゲームを「プレイする」ことと「見る」ことをさらに一体化させるしくみづくりを実現したいと考えています。
吉田:弊社は設立20年になりますが、これまでもradiko様や大手OTT様へ、24時間365日安定したIP配信を届けてきました。そうした実績とインフラの強みを生かしながら、eスポーツの魅力も伝えていきたいですね。
profile
- 中島 賢一
- NTT西日本 ビジネスデザイン部
X-CREATE室
エンターテインメント
プロデューサー
福岡eスポーツ協会 会長
- 吉田 達也
- NTTスマートコネクト
メディアビジネス部 担当課長