「ログインして3分で配信開始」は嘘じゃない

 いきなりだが、まずはデモ。SmartSTREAMのコンテンツ管理システム(CMS)で動画を配信するまでの設定を見せてもらった。基本的には、配信する動画ファイルを指定し、タイトルや公開期間、配信対象、セキュリティ設定など各種設定を行なえばOK。これにより、各デバイスに最適な形式に自動エンコードされ、クラウド側にアップロードされる。また、コーポレートカラーやロゴ、再生ボタンの有無など再生プレイヤーのカスタマイズも、マウス操作だけで行なえる。

デモ動画を見れば、簡単さを実感できる

 コンテンツ管理システムで発行されたURLやQRコードをサイトに貼り付けるか、Playerタグを埋め込みサイトに貼り付ければ準備は完了。マルチデバイスへの対応や視聴分析などはSmartSTREAM側で行なってくれるため、動画を登録するにはPCやスマートフォンがあればよい。あとは視聴者のネットワークの状況に応じて、最適なビットレートの動画がストリーミング配信される。実際、QRコードを撮影すれば、あっけないほど簡単に動画を観ることができ、「ログインして3分で配信開始」の謳い文句は決して嘘ではないと感じられた。

アップロードから配信までの流れ

アップロードから配信までの流れ

 動画配信に加えて、デバイス種類、視聴国、離脱数など、視聴分析ができるのも大きな売り。コンテンツのどの時点で視聴者が離脱しているのか、どこの国やどんなデバイス・OSでよく見られているのかなどをグラフで見られるので、動画配信の利用傾向をいち早く把握できる。また、セキュリティに関しても、視聴パスワードやドメイン・IPアドレスでの視聴制限、ワンタイムURL、暗号化による著作権管理(DRM)まで含めてさまざまなレベルの設定が用意されている。初心者にとっての使いやすさ、特にマーケターがいち早く知りたい指標を得られる視聴分析がSmartSTREAMの大きな魅力と言える。

 もともとSmartSTREAMは、メディア事業者のインターネット配信をワンストップで提供するサービスとして始まった。しかし、エンタープライズ企業や教育機関がユーザーを限定したクローズド配信で利用されるケースが急速に拡大している。これに対応し、SmartSTREAMは初心者でも手軽に利用できるサービスとして進化を続けてきた。NTTスマートコネクト メディアビジネス部 の谷口氏は、「以前はプロ向けサービスで、動画の変換もお客さまでやってくださいというものでした。でも、企業や学校で動画配信とは別の業務の方でも、マニュアルなしに使えるよう、ユーザーインターフェイスにはこだわりました」と語る。

企業でも身近になった動画 でも配信までは難しい?

 企業にとって動画配信はどんどん身近な存在になっている。営業やプロモーションの一環で、YouTubeを使って商品をアピールするのは当たり前になったし、管理部門は社内セミナーや研修など社員向け行事で動画を使うことも増えてきた。また、取引先とのミーティングや顧客に向けた営業活動、採用に向けた会社説明会など、社外とのコミュニケーションにも動画が使われるようになった。

 そして昨今の働き方改革や新型肺炎による感染予防対策が、この状況に拍車をかけている。今まで当たり前のように会場を確保し、参加者を集めて開催していたイベントや会議が次々とオンライン化され、距離や臨場感を埋めるための手段として動画が活用されるようになった。今年は特に多くの会社で「今年のイベントはオンライン配信でできないか?」とか、「セミナーを動画でできないか?」といった会話が飛び交っているはずだ。

 とはいえ、多くの企業にとって、動画配信とは未知の領域で、スキルもノウハウもないはずだ。スマートフォンや安価なビデオカメラで気軽に高画質な動画が撮れるようになったとはいえ、適切なオーディエンスに、適切な画質で動画を配信するのは難しい。免許を交付された放送事業者やインターネットのメディア事業者のように高価な配信機材と高度なスキルが必要で、一般企業にとってはまだまだ敷居が高い。これが今までの動画配信のイメージだった。

 そんなイメージを打ち壊すのが、NTTスマートコネクトのSmartSTREAMである。SmartSTREAMは月額4万9500円~という料金で、動画配信に必要な機能をブラウザ上からすべて利用できる。IT部門にとってみれば、動画配信のためにサーバーやネットワークなどをわざわざ調達する必要がなくなり、動画を活用したいビジネス部門はコンテンツが用意できれば、すぐに動画配信に取りかかれるというメリットがある。

 SmartSTREAMでは生放送にあたるライブ配信と視聴者のリクエストに応じて配信するビデオオンデマンド配信(VOD)の両方をサポートしている。ライブ配信を録画しておいて、終了後にオンデマンド配信用に利用することも可能だ。短期利用もOKで、申し込みから最短3営業日で配信が可能。昨今多いイベントやセミナーをすぐにオンライン配信に切り替えたいというニーズにも応えられる。

無駄のないプラン、最短1ヶ月からの利用、NTTグループの安心感

 SmartSTREAMの売りは、同等サービスと比較した価格の安さと無駄を省いたサービスメニューだ。サービスメニューとしては月額5万400円で必要なものをワンパッケージにした「シンプルプラン」と、月額4万9500円のサービスにさまざまなオプションを組み合わせる「セレクトプラン」が用意されている。

 シンプルプランはVOD配信のみ対応しており、動画配信初心者を前提にあえて複雑なメニューは削っている。一方のセレクトプランはライブ配信やコンテンツ保護、ライブ録画などのオプションとして組み合わせることができる。「ライブ配信であれば、やはりセレクトプランになります。松・竹・梅で機能が増えて高くなるのではなく、必要な機能を選べるというプランです」(谷口氏)とのことで、不要な機能を購入せず、必要な分だけ料金を支払えばよい。

セレクトプランであればライブ配信中でもリアルタイムに視聴分析できる

セレクトプランであればライブ配信中でもリアルタイムに視聴分析できる

 最短1ヶ月から利用できる点も他社との差異化ポイント。「だいたいは半年から1年契約をコミットする動画配信サービスが多いです。とはいえ、1回のライブ配信をするのに長期間契約いただくのは、お客さまにとっても不利だと思いました」(谷口氏)。

 NTTグループならではの安心感も大きい。データは震度7を想定した耐震設計を持つNTTの通信ビルにあるデータセンターに格納されており、ネットワークも複数のISPやIXに直結されたNTTグループの大容量バックボーンを利用できる。もちろん、メニューやサポートも日本語なので、初心者でも気軽に問い合わせることができる。

 動画配信といえばYouTubeというイメージもある。無料ということでYouTubeから始めるユーザーは多いし、SNSとしてグローバルに数多くのユーザーを持つYouTubeはプロモーションや拡散に強い。一方、SmartSTREAMは視聴者を限定したクローズドな配信に強い。YouTubeと異なるストリーミング配信だし、広告やロゴも入らない。著作権もユーザーに帰属するので、用途にあわせて使い分けるとよいだろう。

放送のプロから初心者まで満足できるサービスをいち早く試用せよ

 これまでのNTTスマートコネクトの配信事業における実績は、大きくメディアと企業に分けられるという。メディアに関しては、ラジオのインターネット配信を手がける「radiko」や定額制の動画配信サービス「Paravi」(プレミアム・プラットフォーム・ジャパン)など大規模な配信プラットフォーム構築で高い実績を誇ってきた。中でもSmartSTREAMは、北海道テレビ放送(HTB)などのテレビ放送局でも採用されており、アクトビラと共に地上波とネットの同時配信を見据えた実証実験も開始している。

 企業や教育機関においては、視聴者を限定したクローズド配信でよく利用されている。自治体の議会中継や企業のセミナー中継、教育機関であればオンライン授業などさまざま。「コロナウイルスの影響で入学式・卒業式のライブ配信をできないかという相談が一気に増えています。保護者が式に入れないなら、せめてライブ配信したいという声が現場の先生から来たりするんです」(谷口氏)とのことだ。

 また、最近増えているのはエンターテインメント領域。新型肺炎の影響で注目されつつある無観客ライブイベントの配信や、視聴者が観たい視点を選べるeスポーツのマルチアングル配信、あるいは、ライブイベントと連携した会員向けVRコンテンツの提供など、視聴者が能動的にのめり込めるような臨場感を実現するようなイベント配信が増えているという。

 とにかく動画配信の需要はどんどん増え、用途が拡大しているのが現状。以前は動画のプロが使うサービスだったが、今では学校の先生から問い合わせがかかるような状態で、敷居は確実に下がっている。一方で、高い臨場感を実現するハイレゾ、4KやVRなどのテクノロジーへの対応、クラウドならではの迅速性が受け、プロフェッショナルからも改めて注目を集めている。

 動画配信に関心があるユーザーは、シンプルなフォーム入力だけですぐに使えるSmartSTREAMの無料トライアルを試してもらいたい。30日間に渡ってほぼフル機能が利用でき、申し込みを済ませば、そのまま本番環境として利用できる。スマホに撮影した動画で配信を試したり、コンテンツ管理システムの使い勝手を試したり、視聴分析機能でどのようなグラフになるかチェックすれば、動画配信は決して敷居が高くないことがわかるはずだ。

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大谷 イビサ
株式会社角川アスキー総合研究所
メディア&マーケティング事業部 ASCII課
TECH.ASCII.jp編集長
オンラインメディア「ASCII.jp」のIT・ビジネス担当。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、エンジニア界隈やユーザーコミュニティを中心にした情報発信を手がけている。2017年からは新メディア「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、働き方とテクノロジーの理想像を追い続けている。